心に響くボーカル Toshi
苦難の12年を乗り越え、再びステージに
TJ: YoshikiさんとX Japanを結成された経緯を教えてください。
TOSHI: 彼とは45年前、まだ3歳か4歳だった頃に、幼稚園で出会いました。10歳の時に初めて一緒に演奏しました。その年、Yoshikiは彼のお母さんと弟と一緒にKISSのコンサートを観に行きました。僕たちは同じクラスで、僕はKISSの大ファンだったので、コンサートはどうだったかと聞きました。その年齢でロックの話をしている人なんて他にいなかったので、彼とはすぐ親しくなりました。当時僕はアコースティック・ギターは弾けたんですが、エレクトリック・ギターも演奏したいと思っていました。Yoshikiはエレクトリック・ギターとドラムセットを持っていたので、彼の家で、Yoshikiがドラムで僕がギターで、KISSのカバーをしたりしていました。まだバンドではありませんでしたが、それが僕たちが音楽を始めたきっかけです。
TJ: バンドはいつ始めたのですか?
TOSHI: 僕たちは幼稚園、小学校、中学校と同じでした。12歳か13歳の時に、何人かのクラスメートの中からギタリストやベーシストを見つけて、それで「3年生を送る会」っていうのがあって、その時に、ロックのコンサートをやりましょうということで初めてのステージに上がりました。
TJ: 初めからボーカルだったのですか?
TOSHI: 当時僕はギターを弾いていて、友達がボーカルでした。大きな中学校が2つに分かれ、僕たちは新設校に行くことになりましたが、ボーカリストは元の中学校に留まることになりました。ボーカリストがいなくなってしまったので、誰がボーカリストやる?ってことになって、Yoshikiが歌ったり僕が歌ったりして、バンド内でオーディションをやって、当然Yoshikiより僕が上手かったので、とりあえず僕がボーカルやってみようということになりました(笑)。
TJ: 英語はどのように勉強されたのですか?
TOSHI: ロサンゼルスには93年から97年までの3年間住んでいたので、その時少し勉強しました。レコーディングの時に発音の先生に教わりました。僕の先生はラリー・モス氏でした。彼は多くの有名俳優や女優に指導していて、Yoshikiも彼から教わりました。すごくいい先生です。
TJ: プロのボーカリストとして一番大変なことは何ですか?
TOSHI: やっぱり声の状態を保つこと。いつでもベストパフォーマンスができるように、体を整える、心を整えることが一番大切なことです。毎朝、納豆と玉ねぎをくちゃくちゃと回して食べています。そして、オーガニックのりんごと人参の生ジュースをスロージューサーで作って飲んでいます。体の抵抗力を養い体の良い状態を保つのにいいと思って毎日それを1年以上続けてきました。前に体の調子を崩して、ちょっと精神的にも肉体的にも大変辛い時期がありました。だけども、やっぱり食生活を見直したらすごく体もシェイプされて、元気になりました。今体調もすごくいいですし、最近は茶道を始めました。精神をすごく集中したり、茶道を勉強することで、日本の文化とか歴史、作法を同時に学んでいます。忙しいのでたまにしかできないんですけど、茶道をしている時が僕にとってはすごく精神のプラスになっています。
TJ: 去年は良い年でしたか?
TOSHI: そうですね。個人的には、「洗脳」という自伝を書きました。自分の過去をさらけ出すことで、自分の心にあったいろんなものがとてもクリアになって、何かけじめがついて、やっと新しい自分を踏み出すことができた。ファンの方や世間の方々に伝えることで、いろんなことがクリアになって、今後の自分の人生の道が見えてきました。だから今はすごくいい状態です。
TJ: ソロとしてはいかがですか?
TOSHI: ちょうどおとといまで、ファンイベントをやっていました。3日間。本を書いたことで、今いろんなテレビに出演したり、去年は日本で大きなニュースになったりしました。年末の特別番組の取材を受けたり、テレビのインタビューを受けたり、あるいはバラエティの番組にも出たりして、自分の活動の幅も広がってきました。ロックのコンサートもソロでやりましたし、クラシカルな会場でのコンサートもやりました。本を出したことで、すごくアクティブに自分の活動の幅がぐっと広がってきたし、自分の中から躍動感が出てきたので、今年はもちろんX Japanも新しくスタートすると思いますけど、僕自身もソロのプロジェクトを躍動感を持って進めていきたいと思います。
TJ: X Japanのメンバーでよかったと感じるのは?
TOSHI: X Japanは本当にもう長い間、それこそYoshikiと2人で作ってきて、いろんな困難やいろんなことがあって、そして今がありますよね。日本にたくさんのファンがいてくれるんですけど、長年一緒に育ってきたというか、長年一緒に歳を取ってきて、どんな時も熱狂的に応援してきてくれた。そんな不思議な感じなんですね。そういう感動がある。ファンの人の素晴らしさと、メンバーのそういう、一生懸命さ、真面目さっていうか。そういうところが大好きです。
TJ: 昔のX Japanと今のX Japanは何が違いますか?
TOSHI: 最初は、やっぱり若かったから、なんかともかくもう突き進んでた。パワーで押し切ってた。今はそこから20年、30年経ってそれぞれが大人になった部分はあります。でも、そういう気持ちとか、気合いとかは今の方がもっと強くなっていると思いますね。
TJ: X Japanのメンバーとして一番難しいことは何ですか?
TOSHI: Yoshikiが作ってくる楽曲、あるいはメンバーが作ってくる楽曲を、そのアートを作り上げるために僕の歌声を整えて、そのリクエストに負けないように出していくことです。
TJ: ギタリストのPATAさんについて教えてください。
TOSHI: 何て言うか、PATAを見るとどんな場面でもなごみます。ほっとします。かけがえのない、X Japanのほっとする場所というか。一番面白いですね、PATAは。
TJ: HEATHさんについてはいかがですか?
TOSHI: HEATHは、やっぱりかっこいいですね。ベースプレイを見てて、とてもかっこいいですし、なんかちょっと弟みたいな。そういう感じで、かわいい、かわいい存在。
TJ: SUGIZOさんについて教えてください。
TOSHI: SUGIZOはとても真面目で、音楽に対しても何の取り組みに対してもすごく熱心。真面目で熱心。勉強家だし、ストイックだし。見習うところがたくさんありますね。そしてSUGIZOを慕うたくさんの若いミュージシャンたちをかわいがるようなそういうパーソナリティもやっぱりSUGIZOらしいなぁと思って。微笑ましいですね。
TJ: YOSHIKIさんについて教えてください。
TOSHI: Yoshikiはなかなか一言では語れませんけども、やっぱりとても尊敬しています。彼の人生っていうものを、バンドということだけではなくて、ほんとにこんな人っているんだなっていうのを、おそらく彼の一番そばで一番長い間ずっとその時間を共有したり、見せてもらっていて、とても面白い。Yoshikiっていう人生を見てるだけで僕は感動もするし、興奮もするし、なんかとても楽しいものを見せてもらっている。だから、Yoshikiという人生を見る一番の特等席に僕はいて、将来はYoshikiという本でも書きたいなと思うくらい、彼の人生にはドラマがあります。だから、これからも仲良く、共にパートナーとして生き続けていくんだろうなぁという風に思います。
TJ: YOSHIKIさんは非常に才能ある方ですね。
TOSHI: Yoshikiはいろんな才能がありますね。例えば、びっくりするくらいに、英語の能力が高いと僕は思います。日本語より上手いかもしれません(笑)。
TJ: ご自身の性格について教えてください。
TOSHI: 難しいなぁ。いろんなことが人生あって、だまされたり、本当に大変な思いをこの十数年間してきました。本当にもうだめだと思ったり、もう死んじゃいたいって思ったり、どん底っていうものを見たんですけど、そこからでも考え方や自分の行動を変えて、よし、って前へ進んで行くと、たくさんの人が手を差し伸べてくれるんだなって。人は誰でも本当にやり直せるんだなっていうことを学ぶことができました。そういうことを僕は今、学び実践して生きていくことができている。Yoshikiもそうだし、今周りにいて僕をサポートしてくれる人もそうだし、世界中にいるファンの方々もそうだけど、やっぱり多くの人に支えられてるなっていう風に思って、すごく幸せだなって思います。
TJ: そういった体験について「洗脳」に詳しく書かれているのですか?
TOSHI: はい。日本では全国の図書館に置かれることになりました。これは永遠に置かれるんですね、もう。推薦図書といって、図書館で推薦されて、普通こういうアーティストとかが書くような本はそういうとこになかなか置かれないんですけども、今回は推薦されまして、図書館に全部置かれることになったんですね。今度中国語で出ることになりました。英語版も出版できればと思います。
TJ: デリケートな質問になりますが、HIDEさんとの思い出について教えてください。
TOSHI: いっぱいあるんですけど、1997年12月31日の東京ドームでのラストライブで、僕がその年に脱退を申し入れて、バンドは解散することになりました。だからラストライブの時に、僕はステージの上に立ちましたけれども、メンバーにも申し訳なかったし、ファンにも何を言っていいかわかんなくなってしまって、ステージ上でしゃべれなくなってしまったんです。その時にHIDEが近寄って来て、「Toshi君パーッといけよ、パーッと」っていう風に僕に声を掛けてくれたんですね。そのHIDEの笑顔とその言葉で、僕はすごく吹っ切ることができて、それがとても嬉しかった。HIDEってそうやってすごく気遣って、僕がうまく歌えなくてレコーディングで落ち込んでる時とかもスタジオに来て、ちょっと声を掛けてくれたり、ちょっと冗談を言って和ましてくれたり。そういう気を遣って、人をうまく持ち上げてくれたり、気分良くさせてくれたり、気持ちを安らかにしてくれる、そういう存在だったんです。最後のコンサートの時に声を掛けてくれて、最後素晴らしいパフォーマンスをHIDEが引き出してくれた。その時のあの笑顔が忘れられないですね、本当に今でも。
TJ: 素晴らしいミュージシャンだったんですね。
TOSHI: はい。亡くなってから10年以上経つけれども、今でも彼のミュージックビデオとか見ると、とてもかっこいい。音楽性も高いし、ファッション性、やっぱカリスマ性があるっていうか。すごくかっこいいですね。
TJ: TAIJIさんについて教えてください。
TOSHI: TAIJIは日本で一番上手いベースプレーヤー。もう日本でナンバー1のベースプレーヤーだと思います。あと個人的にもやんちゃな弟みたいな感じで。アマチュアの頃には彼が僕のステージ衣装を毎日一緒に徹夜して作ったりと、とても親しくしていたので、彼が亡くなったことも本当にもう残念で無念ですね。日本で一番かっこいい、そして一番うまいベースプレーヤーだと今でもそう思っています。
TJ: 将来海外に住む予定は?
TOSHI: ロサンゼルスかロンドンに住みたいですね。ニューヨークも好きです。パリにも行きたいです。海外で生活するのは好きですね。
TJ: 音楽以外のご趣味は?
TOSHI: 今お話したように、茶道と、それからアンティークジュエリーについて勉強しています。アンティークのジュエリーが好きなんです。その歴史と文化を学んでいます。
TJ: 将来の目標は?
TOSHI: まだよく分からないですけど、やっぱり今は、自分が経験したことを伝えていく活動をしたいです。自分が経験してきたこと、勉強してきたことを、自分に子どもがいない代わりに、子供たちに伝えるような機会をこれからも持って行きたい。そういうのは一生かけて地道にやっていけばいいなって。そのために今は音楽の世界で活躍したり、世界中で音楽を広めてったりしながら、片方で自分のそういう経験を伝えていきたいなっていう風に思います。
TJ: 音楽業界で、一番尊敬する人は?
TOSHI: Yoshiki。ほんとに。彼ほどすごい人は見たことない。やっぱり音楽の世界でも彼の才能、それと彼のパーソナリティーをとても尊敬しています。だから一緒にずっとやっていけるんですけど。素晴らしいです、彼は。
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Photograph by Adrian Wilson